窓際のトットちゃん

ベストセラー自伝のアニメーション映画作品。

現代受けする様に原作をアレンジしたりせず、悲しみややり切れなさを描いていた。落ち着きなく小学校を退学して、たどり着いたトモエ学園では子どもらの個性を第一にした方針であり、同じような理由で通う子どもとの成長を描く。

子どもの個性を尊重などとは言い易いが、実際の取組みには相当の覚悟、根気があるのも劇中からよく伝わる。特に落とした財布を探すために便槽から汚物を掻き出すシーンはアニメと言えども眉を顰めるほどの描写で、子どもの個性を大切にできるか?と観客が試されてる感じもした。賑やかな食卓、楽しい遊びの中に忍び込んでいる戦争の影、存在を増してトットちゃんの生活範囲にも入り込んでいくのが恐ろしい。出兵記念の行列の中を駆け抜ける描写も素晴らしい。

作品は日常と戦争だけではなく、トモエ学園と子どもたちも描いて、戦争の最初の犠牲は子ども達であることを示している。