先生と迷い猫

町のみんなにかわいがられていた野良猫が消えてしまい、
行方を捜すうちに自分の気持ちに気がついてくる。

愛妻を亡くして孤独な老後の中を生きる主人公は、町の人からも
変わり者呼ばわりされて益々孤独であった。彼が唯一の社会とのつながりを
もてていたのはロシア文学の翻訳だったが、それもあっさりと否定されてしまい
身の置き所がなくなってしまっていくのが哀れだった。
そんな中、寄ってくるのは猫くらいだったが、亡妻を思い出すと言うことで
追い出してしまう。

これを主軸にして、脇役の演出がよかった。
不登校の小学生は、カッターで襲われた猫を見た後に
落ちていたカッターで枝をなぎる。なんとなく不安にさせるシーンでよかった。
男が、おにぎりを差し出そうとすると僕は猫じゃないと駆けていくのも。

猫を探す男の様はおろおろしているだけで情けなく
滑稽にも見える。
翻訳を笑われ、おにぎりを断られ、彼は自分と他社のかかわりを
改めて求めていたように見える。

夢と現が入り混じったラストシーンはとてもよかった。