タイムマワープのあるSFって面白い。
単純に時間移動をして自分が生まれていない時代に親の結婚を阻むと
自分が生まれなくなる?という矛盾をタネにして話が広がる。
不思議にこの理屈は納得されている。
われわれの心の中では時間はある方向性をもって不可逆的に流れているという
概念があるからだ。それに則って時間にさかのぼれば下流である現在に影響をするという
ふうに思いたがる。
この物語もその共通認識に則ったSFだ。
タイムリープを使えることで過去の失敗をやり直し、現在を正すのだ。
だが主人公は何度も何度も過去に戻っては現在を正す。
何度も繰り返すためにどれが本当の現在か見ているほうも分からなくなる。
恐らく主人公もそうなのだろう。
もしタイムリープができてしまうと
未来へは一歩も進めなくなるのではなかろうか。
もちろんこの映画のテーマとは違っているのだが。
タイムリープは、時間の概念がある人間の、心の迷いではないか。
片思いをした未来人である少年が未来へ戻る。
彼がいる時代にまで自分の生きた証を残すために
これからも彼女は全力疾走をするのだ。
息切れが木霊するシーンが見事にそこへ帰着した。
たとえ何度も過去に戻れても青春は一度きりなのだ。
面白い作品はいろいろ想像を刺激してくれる。