あなたへ

高倉健主演作
ロードムービーというところがいい。
亡妻の遺言に従って彼の上の生まれ故郷である長崎まで
思い出を一つ一つ噛み締めながら旅していく。

道中で出会う人は行きずりではなく
また別の旅先で出会う人で
奇妙な縁を感じさせてくれる。

車上荒らしに移動販売人と
浮き草のような生き方がでてくるが
主人公と対比的だ。

余と佐藤の話はとってつけた感があるが
人生には誤りがつき物で許されるものと
言いたいのだろうか。
本筋からはぐれるような。

人を失った孤独
残された人生の孤独さが
隅々から滲んでいる。

旅と放浪の違いを問われ
山頭火の詩集を渡されるところも
面白い。

高倉健の演じた主人公は
無愛想で実直なだけが取柄の男は
最後の最後までその信念であった。