ジュピターズ・ムーン

国境を越える時に銃撃された少年が、超能力に目覚め不死と

浮遊能力を手に入れた、SF作品。舞台はまさに現代ヨーロッパの

シリア人難民受け入れをテーマにしていて

難民とドイツ人の生活の対比がなんとも残酷。

難民は身一つで逃れた訳だから何も持っていない。迷惑がられ

人の扱いがなされない。超能力に目覚めた少年と出会った医師が彼を

利用して金作りに励む、それを追う刑事がストーリーの軸。

その辺は地味目で退屈だが浮遊する描写やカーチェイスの模様、

重力を操り部屋を回転させるなど

飽きさせない。

少年の父のパスポートを国境越えのドサクサで奪った男がなりすまして

電車爆破を決行したりとテロのある生活を見せて来れた。

最後は人々の前で浮遊するところが目撃され

神のような存在になってしまう終わり方だった。

神の登場で平和が来るのだろうか

15時17分、パリ行き

実際にテロに遭った人物が演者として登場するという作品だが

話題性だけなのかな。

主人公の子供時代から、青年時代に至るまでを描いて、友達との旅行でテロに遭遇するという順番正しく

物語が進む。結論は分かっているのだから観客は

如何にして彼らがその正義と勇気を持ったかを探るだけになってしまった。

ダウンサイジング

今のシケた生活を変えるため夫婦共にミニチュア世界への移住を決めるが…風刺映画として、もしもそんなことが起こるのならという想像を楽しくできた。これまで稼いだ資産ならミニチュア世界なら有り余るという考え方は面白い。余剰分で施設の維持や建設費を運営してるんだと推察できた。こういった外堀も描いているのでスルリと空想の世界に入れた。

ミニチュア世界はユートピアかと思いきや、移民問題や犯罪などでスラム街の様子も出てきて面白い。リアリティを与えてくれる。

最後、世界が終わると穴倉に退避するコミューンの存在は何を意味したのだろう。ミニチュア化したのは環境に負荷をかけないためという崇高なミッションを背負った彼らは穴の中へ逃げ込んだ。

あいつらはカルトだ、そのうち穴の中で殺し合いだ、という一言も面白い。

主人公がミニチュア化される前の別れの宴の時に絡んで来た酔っ払っても良かった。小人は選挙権あるのか?そういう素朴な疑問や世間知恵がリアリティに色を添えている。


主人公ポールは後悔のない人生を見つけられたのか。

これがこの作品のテーマなのかな。

はじまりのボーイミーツガール

目を患ってやがて失明するかもしれない、裕福な少女と母親のいない自動車整備工場の少年の物語。バイオリンを弾きたいと願っている少女は、目を酷使するからと親に禁じられながらも夢をかなえるため少年との脱走、というところ。少年と父親も亡くした母親の記憶を乗り越えるため遺品を整理しだしたりと、成長の物語でもある。フランスの美しい暮らしぶりや子供の元気ぶりを楽しめる一本では。

キングスマン ゴールデンサークル

ポップでノリの良い映画だが、師弟関係、愛情、自己犠牲などを
バランス良く配置している。
スパイ活動を支える技術がSFだが、過程は問題ではない。
そこはおしゃれにかっこよく見せて、もたらせる結果を導き
ストーリーを展開していくのだ。
エグジーが彼女の家族との夕餉できたオレンジのタキシード、
敵役のポピーアダムズの60年代テイストのアメリカンロードサイド
モンスターインクのような道化師役をこなすエルトンジョン。
登場する人々がなにがしかの美学を持って、作品を作っている。
ストーリーを楽しむというより、その小道具や衣装も十分に楽しい。
暴騰から「カントリーロード」が使われ、マリーンが自爆する際も彼は大声で歌いあげている。「原点に戻る」ということを伝えたかったのだろうか。
死んだはずだったが最新治療で復活したハリーは1作目でみせた
華麗な動きができず、間誤付いたり錯乱しているところの描写は
エグジーへの代替わりをうまく見せていたと思う

 

笑う故郷

故郷アルゼンチン・サラスを捨てたノーベル賞作家が凱旋するのだが。

最初は歓迎ムードで演説会でもリップサービスするのだが、サラスの住民は

大作家となった彼に複雑な感情を持っており田舎者特有の劣等感を滲み出していく。

市長、絵画コンテストの落選者、彼の小説のモデルになったと言い張る息子、車いすを頼む親子、誘惑する娘、初恋の人妻と、その夫。特に、娘のセリフであった「ママのようにこんな田舎で朽ちていきたくない」がこの作品のキーワードだと思う。小さな田舎町で滞留しているため閉鎖的になっていく人々。富と名声を得て自由に世界を渡り歩く男にやっかみを感じるはずがない。歓迎のムードは徐々に嫉妬と暴力に取って代わられていく。男にとってノスタルジーはそのままであったほうが良かったのだろうか。

唯一の見方は初恋穂人妻と作家志望のホテルマン。嫉妬に狂う彼女の夫から男を脱出させようとするのだができず。この二人は救いとはなりえなかった。

撃たれても幸いに一命をとどめて彼はノーベル賞受賞以来の新作として今回の道中について小説にした。彼にとっての復讐なのだろう。