サンドラの週末

育児休暇明けに復職しようとするも
会社側から解雇を言い渡されてしまい、解雇撤回か
社員のボーナスカットを迫られて、説得に回ると言うものだ。
主人公サンドラは病んでいるのか、安定剤ばかり服用している。
落ち着きがない。
懇願される同僚も会ってくれなかったり同情してくれたりと
それぞれ。
社員同士を分断させて居心地を悪くする手法って世界共通なんだな。

くじ引きでサンドラの復職は見送られ社員のボーナスは守られたが
オルグする彼女の底力を見抜いた社長は契約社員の契約を打ち切って
彼女を雇用すると裏約束するのを蹴って彼女は会社を後にする。
その契約社員こそ、彼女の復職に賛成をしてくれた彼だからだ。

大きな盛り上がりもなく、二者択一を迫られた人々の
ほのかな緊張感、というより人間関係の煩わしさを
浮き上がらせていた。

追憶と、踊りながら

交通事故で息子カイをなくした母親は呆然とした生活を一人、
老人ホームでやり過ごしていた。
その中に恋人であるリチャードが訪ねてくる。
二人の間では言葉が通じることはなく女友達のたどたどしい
通訳でかろうじて意思疎通をした。

テーマはディスコミュニケーションだと思う。
やがて母親の前に現れた男性との恋を成就させて
悲しみから救おうとリチャードは努力するが
言葉が通じないことをいいことに、分からない振りをしあう。
さらには、カイにカムアウトするように進めたことを
自分が代行することで彼の思いを伝えたかった。

ゲイカップルであることは隠していたのだが
二人の間柄が深いものであることをそれとなく察知する
母親は、息子との思い出をただただ思い出すばかり。

カイをなくした二人はただただ、彼の面影を追うだけなのか
心の中に小さくしまわれていくのか。

イタリアは呼んでいる

英国人俳優の男二人のロードムービー
美しい風景とおいしそうな食事、素敵な風景に豪華なホテル。
イタリア観光名所の素晴らしさを堪能できる。
こういうのを見るにつれ、日本はまだまだ貧乏臭い観光地が多い。

二人は物まねを繰り返して笑わせてくれるのだが、
日本に置き換えるとテレ東の土曜スペシャル、ドロンズとお兄ちゃんの
軽トラ横断のあれか。

笑わせるのなら最後まで突き通せばよいのに
最後は家族ドラマになってしまった。

愛して飲んで歌って

死のふちにある色男を巡る3人の女とその亭主との
会話劇。セットが舞台のような設えで面食らった。
軽妙洒脱なフランスのエスプリと言う事だろうけど
物足りない感じ。

こういった軽演劇はあるよな。

物語が進むたびに色男ジョルジュとのそれぞれの
やり取りが明らかになってきて、三叉かけられていた?
ちょっと薄味かな。

パレードへようこそ

サッチャリズム吹き荒れるイギリスの炭鉱労働組合
援助を申し込んできたのはゲイ団体だった。。。
異質なものがお互いの生存のため手を取り合っていくのが面白い。
ゲイ団体側は、ゲイリブ運動に飽きた一人のリーダー格の思い付きだったが。

炭鉱労働組合側の女たちは面白がりゲイたちを歓迎するのだが
受入れられない男たちとのお約束の内輪もめも面白い。

長年ゲイであることを隠していた老人など、
意外性を持たせてリアルさを演出している。

お互いの共存のためと言いつつも、異質を排除したがる者もいて
運動はまとまらないのだが、ラストシーンで各炭鉱労働組合
力を貸すシーンはよかった。

ゲイリブと炭鉱労働組合という無関係性に思えた。
偏見に戦うとかそういうものではなかったが
面白かった

味園ユニバース

大阪ミナミ 千日前にある 飲食ビル・味園。
その中は世間からこぼれた人々が慰めあいささめき合う魔窟、不夜城・・・。
カルトな人々と繰り広げられる可笑しくもかなくしくもある、人情の色濃い物語かとおもったが
ぜんぜん違った。
大阪流のハードボイルド作品なのか。
渋谷スバルのプロモーション映画か。
冒頭、アレだけ殴られてよく生きてるなと思った。

記憶を失った男は、ライブ会場に乱入しマイクを取り上げて
いきなり熱唱をしだすが美声で何者?という運び。
ポチオを名付けられてスタジオでヒモのような生活を送る。
そしてよみがえる記憶、置かれた境遇。
ラストへ一気に突き進む爽快感が足りない感じ。
ポチオはなぜ、今そこに?という背景がよく分からず。
映画は彼の人生の一瞬を切り出した、とでもいうのだろうか。

せっかく奇妙空間「味園」でやるんだから、そこに棲息する
怪しい面々を出してカルトチックに味付けしてコメディいタッチに
描いたほうが俺好みだった。

渋谷の歌、演技がよかっただけに
話の平坦さが惜しい。

サンオブゴッド

イエスキリストの生誕とその奇跡、および迫害から復活までを描いた
教育映画、にみえた。

娯楽性などは入る隙もなく淡々と伝説にのっとって描かれていく。
伝説そのものが、物語性もあるので楽しめるのだが硬い。
いつか見た「ヘラクレス」の様に、奇跡や神秘が何某かのいわくや
誇張された表現、かと思いきやイエスは魚を出したり病気を直したりと
本当に奇跡を起こしていくのが、つまらなかった。