わたしを離さないで

患者の治療のために患者と同じ人間が生産されている世界。
淡々と描かれていて妙なリアリティがある。
時代は1980年代とあえて過去にしてあるところもよりリアリティを高める技か。

医療用に生み出された子供たちは閉鎖された学校で育てられ
時折人権団体が教師となって潜入し子供たちの解放を試みられるも
概ね問題なく育っていく。
自分たちの運命も受入れるようになって。

ここの子供たちが仏運も子供と何の代わりが無いことを訴えるために
子供の絵画展を外界で行おうとする運動も地味なところがいい。

そして愛し合っていれば治療用になるまで猶予が与えられるという
噂話を信じる。

淡々と描いて消えていく生を見た。