ハクソー・リッジ

鑑賞するまで、沖縄戦で戦った人物の実話に基づくものとは全く知らなかった。

冒頭、主人公の兄弟が崖に登る所から始まり、彼の人生が崖と関わることを前面に訴える。更に兄弟げんかでブロックで相手の頭を殴り瀕死に追いやるも、壁に掲げられたキリストの絵ある「汝殺す無かれ」に電撃的な衝撃を幼心に受ける。この二点が彼の今後の人生を決定付ける、と言いたいのだろうけど直接過ぎるかな。。。

成長し看護婦に恋をし、良心的兵役拒否者として志願していくのだがそのキッカケが思い出せず。兄の出兵を見て、自分にできることを模索した結果だったけ。

己の信条をもって兵役にありながらも銃を持つことを拒否し、その結果いじめにあったり軍法会議にまでかけられる。ここまでくると受難である。なぜ彼が、軍人として良心的兵役拒否を続けていくのかが私には腑に落ちない。

映画の前編は彼の信条が確立されるまで、そしてその強固さを印象付ける。後半からはアクション映画のようになり血みどろの戦場を生々しく描く。飛び散った肉片、砕ける両足と。彼を馬鹿にしていた同僚たちも含め彼の神がかり的な行動で助けられていく。信念が勝つ、と訴えるのだろうか。

対する日本兵も描かれており、別れの水杯や切腹介錯なども描かれこれまでのアメリカ映画で描かれるような悪魔的な敵ではなく、おなじ人間として描かれていたと思う。米兵は日本兵を恐れていたのね。

最後にドスに救われたという本人たちが回想するシーンで終わるのだがこれを入れればどんな駄作でも文句のつけようがなくなる。

好ましい手法ではないなぁ。

総じて、綺麗にまとまっていてアメリカ人が好みそうな、してやったりな伏線回収もあって文句は無いのだが、余韻というか陰影が無いつるんとした作品でもあった。

主人公のアンドリューガーフィールドの顔の小ささはドス本人にそっくりだった。

この人、「沈黙」のロドリコ神父でもあるわけだが、つくづく神に試される役柄が多い。