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わたしは、ダニエル・ブレイク

イギリスはいつの間にか貧しい国になっていた。世界一の福祉国家だったのに。

病にかかってしまうと、仕事を失い、あっという間に転落していくベテラン大工のダニエル。それぞれの父親が異なる二児のシングルマザー、ケイティ。

職安でであった二人が助け合いながら物語りは進む。

職安では融通の利かない、人間味の無い役柄として描かれている公務員たちだけど、彼らの立場に建てば、ダニエルたちは大勢のうちのふたり。それもよくいる二人。悪役として描かれているけど、そこは割り切れない。

フードバンクの係りのおばさんや万引きを見逃したスーパーの店長などイギリス人の優しさはそこここに見えた。行政から零れ落ちた人たちに暖かい手を差し伸べる人はいる。

あまりにも煩雑な行政手続きに根を上げそうになったダニエルに、

正直でまじめな人たちがホームレスになっていくのを何人も見てきた、、、だから申請を続けてとアドバイスを受けるも、三行半をつけて退場する。

 

この作品、バランスの上に成り立っている。

公務員や行政制度を悪役にしないと、物語が成立しないのだ。

しかし彼らもまた、失職の恐怖にある。

スマートで合理的な行政によって人間の尊厳が失われたというのは

ちょっと納得できない。