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サヨナラの代わりに

ALSになったケイトとそれを介助するヤンチャな大学生ベックとの
バディ映画。「最強の二人」の流れを髣髴とさせるように
ケイトは恵まれた人生を送り、ベックは自暴自棄な生活であった。
二人はお互いに感化されながら、人生を深めていくという体。

この作品、登場人物が通り一遍の役割ではなく、それぞれの性格や生活があると
匂わせているのがすごい。悪人、がいないのだ。
魔がさしたり、勘違いしたり、共依存になったりとそれぞれの
弱さがきちんと描かれていた。

ALSになってしまい、夫エヴァンの人生を奪ってしまったと嘆くケイトは
彼の浮気を自分のせいにして彼から立ち去ろうとする。
彼を失うことで見えなかったもの、失われていくものが様々に浮かび上がり
それでもケイトを見捨てずに戻ってくるところが妙味だった。
単に、ベックとの友情物語に済ませなかったのがよい。

ベックも教授との不倫を隠しつつ、エヴァンの過ちを責める立場にないと指摘され
共依存の様になっていたベックと別れを選ぶケイト、それは優しさからか。
大学を止めて介護に精を出すことに自分の存在を見出そうとするベックを
叱り、彼女もまた、自分のために人生を台無しにしているときが付いたのだ。

それでもベックとエヴァンは決して分かれることは泣く
ケイトの傍に戻り彼女の死を見送るのだ。

同じALS患者としてケイトを励ますマリリンの存在も大きかった。
人生をより深く感じていると言う彼女の境地はどんなものだったろう。
そして彼女を失った夫の気持ち、逃れられない死を前にしても
堂々と人生を生きていったのだ。

ただ、この作品は難をいえばすべてが完璧なピースとなって
作品を作り上げている。無駄なものがないのが気になった。

エヴァンはどのアングルからも美しかった。