あん

過去の過ちを抱えた男・千太郎、居場所のないワカナ、そして
ハンセン病患者の徳江の三人の物語。

ハンセン病のせいで社会から隔離され
偏見に見舞われ捨てられてきた存在であり
それでも人はなぜ生きていくのかを
シンプルな人物背景で鋭く描いている。

人生を半ば捨てた千太郎の元に餡作りの名人・徳江が
どら焼きの餡作りに手を貸すことになり
店は話題となるが、その繁盛は徳江の過去の病歴のせいで
脆くも崩れ去ってしまう。

繁盛と衰退で人の世の姿を浮き立たせて
物語の本質である、社会から切り離されても
生きていく意味を浮き上がらせている。

社会の役に、人の役にではなく、
見る、聞く、感じる、思うで生きる意味を知る。

これまでの人生観とは違った内容だったなぁ。