希望の国

園子恩の描いた原発事故後の世界。
架空の町長島県での原発事故により町で暮らしていた
家族が翻弄されていく。

人々の暮らしが警戒区域の境界線で二分されていく。
高々数メートルで退避と待機に分かれていく。
半径20キロ以内・以外という社会が決めた制約に翻弄されるのが
面白い。

避難所で電力会社職員の釣る仕上げとその抵抗や
ガソリンスタンドでの差別など
生々しくてよかった。

身ごもった妻が極度に放射能汚染を意識しだして
変人扱いされたり。

しかしながら後半は、退屈な展開で
主人公の自殺によって行き場のない絶望で締めたが
そんなに人は脆くはないと思う。

放射能汚染が穢れという、日本人特有の意識が
人々を苦しめているということが描かれなかったと思う。

原発事故、放射能汚染は科学の視点で描かれなくてはいけない。
お化けや幽霊の類ではないのだ。