ラビットホール

子供を交通事故で失った両親のその後を描いた作品。
普段いた人が消えていなくなった後の痛々しいまでの喪失感が
あった。
夫婦を取り巻く親、兄弟、セミナーの仲間、会社同僚たちとの
奇妙な距離感も陽気なアメリカ人の知られざる側面を見た。

妻の母も息子(妻の兄)を薬物でなくしているのだが
その設定も面白い。故に娘の気持ちを慰められるというものだろうか。
でも、同じく「息子」の喪失体験を共有させなくてもよかった気もする。

子供をなくした親の集いは生々しい存在だった。
いつまでもそこに入り浸り過去から脱出できないまま
時が止まった人々ということだろうか。

悲しみは無くならないが小さくなるというのがテーマだが
それを浮き立たせているとは思えない。

妻の妹は身ごもっているのだがその幸せを妬む、疎む、でもそれはいけない、という
妻の立場が描けてあった。

運転事故の加害者であろう
少年の登場もあったのだが、彼が描いたパラレルワールド
妻の救いになったのだろうか。

パラレルワールドという逃げ方ではなく
もっと別の切り口のほうがよかった気もする。

ところで、彼は結婚をしてしまったのだろうか。
そうは見えなかったが。

そのシーンを見た妻は号泣するのだが
その理由はなんだろう。加害者が前進していくことへの妬みなのか。


ラスト、二人はささやかな未来を描こうとしていく。