ペーパーバード 幸せは翼にのって

スペイン内戦で妻子を失った芸人ホルヘとその友エンリケ。
そこに生きるために入団してきた孤児のミゲル。
三人の男たちの芸人生活がこうして始まったのだが
貧しいながらも、楽しくやってそうに見えた。

でも楽しそうなシーンは馬車に揺られて歌っているところくらいか。
あとは仲たがいするところばかり映されていた。
他の芸人たちとの別れなどもふんだんにあって切なさが漂う。

たまたま上映されたニュース映画の中に
自分の母親がいたと騒ぎ出したミゲル。
でもそれも精神を病んでしまった母親がいただけだった。

スパイ容疑や不信の時代。
鬱屈とした時代。

ミゲルは名喜劇役者となり
その人生を振り駆るところで幕が下りる。
思い出すのは幼かった子供時代。
いつしか客席には、かつての同僚芸人たちの喝采があふれ出していた。
自分の一番幸せだった時代、という形で締めくくられたのだが
それなら、オープニングも老ミゲルを出したほうがよかったのでは。

美しいエンディングだったが
ぴんとこない。