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リトルランボーズ

80年代のイギリスの片田舎を舞台に映画作りに夢中になる
二人の少年の話。

それぞれのおかれた立場が面白い。

主人公のウィルは痩せて弱弱しい感じのする空想癖のある少年。
家庭の信仰によりラジオやテレビを禁じられ視聴覚の授業のときは
退席をする。

相方のリーは腕白で乱暴癖があり学校のみんなからは嫌われている。
家庭は崩壊していて唯一の肉親は兄であり兄を慕う気持ちは誰よりも強い。
映画作りに興味があり、兄のカメラを勝手に持ち出してはカットを取りためていた。

ウィルの空想ネタ帳を見たリーは脚本としてそれを採用することにし
二人で映画作りをすることになる。

映画作りを通して二人の友情は深まっていくのだが
二人だけの楽しみだったはずのものが
参加者が増えていくことで二人の手から離れていき
友情そのものも危ぶまれてしまうというもの。

これだけだったら面白くないのだが
伏線としての仕掛けが面白く
一味も二味も違う側面を見せてくれる。

ウィルは宗教の制約、リーは家族愛の飢餓感。
どちらも家庭から起因するものに悩まされている。

戒律を守らなければ一家はコミュニティから阻害されると
脅されて、自分の好きなものを我慢させられていた。
それは母も同じことであって、堕落につながるモノは
焼き捨てられてきたのだ。

父親不在の家庭に乗り込んできたのは戒律を強要し
母に好意を持って迫る男であった。
宗派の良識を盾に家庭に切り込んでくる様は
恐ろしい。だが、母は象徴であるスカーフを解き
男を追っ払い子供を守った。

リーも偶然に残されたビデオを兄が見ることで
家族愛を取り戻すことが出来た。

同時に、フランスからやってきた留学生ディジエが不思議な役回りになっていた。
厭世的な振る舞いでイギリス人のクラスメイトたちを引っ掻き回しているのだが
ラストの帰国のバスの中で、同じフランス人のクラスメイトには笑われるというもの。

このディジエの取り巻き、リーとウィルの撮影時でのトラブルで怪我をした先生など
脇役も脇役と終わらせず彼らのその性格、おかれた環境をさりげなく描写されていて
一つの作品の中に様々な人生が平行して流れていくのが見えた。

音楽も80年代のUKポップが中心でとても楽しくなってくる。