海炭市叙景

五本のオムニバスストーリーからなる作品なのだが
海炭市という架空の町を舞台にして複数の物語が平行に進み絡んでいく。
役者は無名のものが多かったが竹原ピストル氏の無骨で柔和な笑顔や
中里あき氏の老婆役は最高だ。

ドック解雇、立ち退き、プラネタリウム、ガス屋、スナックと舞台は
転換していくのだがまるで役者がバトンの様にそれぞれの舞台に出てきて
つないでいく。伏線の巧みさが面白く、物語の連続性をかもし出している。

ガス屋の加瀬亮、三浦誠己の二人で乗る軽トラのシーンはよかった。
どうしようもないもやもやを感じさせてくれた。

派手さは無いが、面白い作品。
じわじわと来る。思い返すたびに。


町の中で人々は交差しながら、気持ちがすれ違いながら生きていく。
悲しいことが多いけれどほんの少しの希望や喜びや愛が
生きながらえさせてくれる。