キャタピラー

戦場で四肢をもがれ耳とのどを潰された夫が戻ってきた。。。
かいがいしく世話するも食欲と性欲だけは収まらない夫の姿に
戸惑い受入れていく妻。

キャタピラー(芋虫)の姿に変わり果てたせいで
その人のパーソナリティがそがれて獣のような
食欲性欲名誉欲が残った。ありのままの姿=無垢の様にも思えた。
無垢と言えば道化役として出ていた熊さんも印象的だった。

軍神とあがめられその実は衰えぬ性欲と食欲に奔騰される
か弱き女。出兵前に振るわれた暴力のシーンも生々しい。
石女とののしられた日々。

その力関係はだんだんと逆転していき
遂には妻が夫を犯すようになる。

その過程で取り戻しつつあった理性のせいで
夫は戦地で犯した罪の重さに苛む。

終戦の日、終戦を喜ぶ妻、
終戦となったことを知らずに池に身をとおじた夫。

反戦映画というよりは
極限に耐える純文学のような作品だと思った。