カラフル

タイトルの割には薄暗い色合いで描かれた作品だったのが
印象的。平成22年の今を生きる中学生たちの心情とは
あのようなものなのだろうか。自分のころとはそう大差ない
と思った。死んで生き返った主人公という彼の視点が面白い
主人公のようであって、全体の傍観者の様でもある。
これは自分の人生ではない、という思いが前半には見えていたが
徐々に本人になりきろうとしている。

やりきれない思いを抱えた母親の過ちを
責めた時 母親をいじめて何が面白いという
せりふは多くの観客の心を射抜いたのではないか
思春期のころ、この経験をしたものは多いはずだ

父親と二人きりのシーンもよかった
父親不在の作品が多い中、後半に父との会話を持ってきた。
父親は母の過ち、その原因をすべて知っていてそれを
黙って受入れてきていた。
この作品のもう一人の主人王であることが最後にわかったのだ。

家族と囲む夕餉もラストに近づくほどに
家族っぽくなってきていた。食事を一緒に囲むほどに
同じものを食べるほどに家族になってきていた。

主人公はいじめや家族の喪失で自殺をし
整然の記憶を消されたうえで
復活し同じ人生を歩みなおした。
能力や体力に関係なく心がけ次第で
誰もが生まれ変われることを
訴えているのではないか。

友達の早乙女と廃止された路線の記憶を
辿る旅も閑話休題のように
よいアクセントだった。
無くなってしまってもみんなの記憶に留まっている。
一言では言えないいくつかの真理が含まれていた