歩いても歩いても

人が死んだあと、残された家族の
それぞれの群像劇を念密に描いていた。

死んでしまった兄と何かにつけて比べられてきたのを
引け目ににしていた弟

その弟と再婚した子連れの女

その女の連れ子

姉家族、そして両親。

それぞれの小さな宇宙がパラレルに描かれていて
一個の宇宙を作っていた。

兄が身代わりで助けた子供も15年の歳月を経て
社会人になり命日に毎年来ていた。
来るように言われていた。

彼が帰った後の、彼への辛らつな言葉が
痛々しい。

また彼を呼ぶのをやめないかという
弟の提案に対し
裁縫をしつつ母は、忘れさせ無いために
来させてると目を合わせることなく呟くのだ。

連れ子と、父
弟息子と再婚した女と母

それぞれの組み合わせ、
人と人が接することで起こるハレーションが小宇宙なのだ。

それぞれの小宇宙が決して交わることなく
パラレルに存在する。

面白かった。