クヒオ大佐

稀代の結婚詐欺師クヒオ大佐堺雅人が軽妙に演じた佳作。
だまされる二人の女がもつ薄幸の雰囲気が、詐欺の安っぽさに
拍車をかけていた。
松雪康子は薄幸が似合う。
眉間のしわで薄幸を演じられるのは彼女くらいだ。

クヒオ大佐の詐欺の手口も安い。
こんな手口でと思いたいが、両者とも嘘だとわかっていて
その嘘を信じたかったのではないか。
その嘘の中に生きていたのがクヒオ大佐その人自身だろう。

だまされたのではなく騙されたいのということか。