パリ

いまのパリに住まうパリジャンたちの群像劇。
心臓病を患って余命いくばくの男とそれを取り巻く人々の
物語が並行になっている。
高層アパートから見渡せる世界だけが、療養中の彼にとっての
世界(パリ)。

パリに暮らす人、パリを目指す人と三者三様の生活が描かれている。
それを死が近い男に天使性を与えて世間を俯瞰させて見せる構図だ。
死を持って生を知る、生の謳歌をしるということだろうか。
死につりあうものとしてパリなのだろうか。
それとも生と死があるパリ、ということか。

この手のテイストの日本作品と、本作は相容れないような気がする。
日本人の死生観と、パリ人の死生観は違っているからだ。
何を持って…とは書けないが
日本人が日本の中でこのテーマを描けば違うものになるだろう。