シアトリカル

唐十郎と唐組の役者が作り上げる舞台を一年かけておった
ドキュメンタリー。
ありがちな「過去を振り返る映像のインサート」もなく
今を疾走する彼らの姿をあぶりだせた格好だ。

折々に見せる唐十郎の狂気とも言うべき
舞台にかける情熱、脚本を一気に書き下ろしてしまう才能、
飲みながでも、いきなり稽古に入る熱中さ
どれをとっても面白い。

団員とのやりとりもめちゃめちゃで、撮影団までも
巻き込んでしまう。

エンディングでは本作は事実が6割、虚構が2割、残り一割は虚実不明と
結ばれていたが、ドキュメントといえども作り物ならば
真実値から外れてしまうものかもしれない。でも
それを味わい深く団員たちの力を借りつつ
乾きがちなドキュメンタリーに潤いを与えた。
結果、より真実に近づいたのではないだろうか。

結構はらはらさせられる映画でとても楽しかった。