ミリキタニの猫

heureux302008-02-09

NYの路上ホームレスの爺さん「ミリキタニ」氏の人生を
綴ったドキュメンタリー。

911のテロ事件後に始まった監督とミリキタニとの共同生活をきっかけに
物語は始まっていく。
彼の人生を調べていくと第二次大戦時中、サンフランシスコで
日系人というだけで強制収容所に収容されていたことが分かった。
家族もばらばらになり、広島では原爆で死んでしまった家族もいる。
彼は国家という見えないルールによりその家族や人生を失った。

その時代背景を写したように911のテロで米国民の憎悪の対象となった
アラブ系住民への攻撃が繰り返されていた。
人間の恐怖心、偏見、差別は永遠になくならないのだ。

物語の最後では路上生活とも分かれられ、強制収容所のあった土地で
霊を慰めて映画は終わる。


ドキュメンタリー映画としてはミニキタリ氏の人生と
国家というルールという二軸が交差するのだが、
描き方がもうひとつのような感じだ。
訴えて欲しいところも、力まなくていいところも
押しなべて平均的に描いているので
やや退屈な感じがする。

素材としては大変興味深いものだし
日本人がユダヤ人のように彼の国で強制収用されていたのは
重要なテーマなのだが、あっさりしすぎているような。

それは見ている私が日本人だからか。