ダウンサイジング

今のシケた生活を変えるため夫婦共にミニチュア世界への移住を決めるが…風刺映画として、もしもそんなことが起こるのならという想像を楽しくできた。これまで稼いだ資産ならミニチュア世界なら有り余るという考え方は面白い。余剰分で施設の維持や建設費を運営してるんだと推察できた。こういった外堀も描いているのでスルリと空想の世界に入れた。

ミニチュア世界はユートピアかと思いきや、移民問題や犯罪などでスラム街の様子も出てきて面白い。リアリティを与えてくれる。

最後、世界が終わると穴倉に退避するコミューンの存在は何を意味したのだろう。ミニチュア化したのは環境に負荷をかけないためという崇高なミッションを背負った彼らは穴の中へ逃げ込んだ。

あいつらはカルトだ、そのうち穴の中で殺し合いだ、という一言も面白い。

主人公がミニチュア化される前の別れの宴の時に絡んで来た酔っ払っても良かった。小人は選挙権あるのか?そういう素朴な疑問や世間知恵がリアリティに色を添えている。


主人公ポールは後悔のない人生を見つけられたのか。

これがこの作品のテーマなのかな。

はじまりのボーイミーツガール

目を患ってやがて失明するかもしれない、裕福な少女と母親のいない自動車整備工場の少年の物語。バイオリンを弾きたいと願っている少女は、目を酷使するからと親に禁じられながらも夢をかなえるため少年との脱走、というところ。少年と父親も亡くした母親の記憶を乗り越えるため遺品を整理しだしたりと、成長の物語でもある。フランスの美しい暮らしぶりや子供の元気ぶりを楽しめる一本では。

キングスマン ゴールデンサークル

ポップでノリの良い映画だが、師弟関係、愛情、自己犠牲などを
バランス良く配置している。
スパイ活動を支える技術がSFだが、過程は問題ではない。
そこはおしゃれにかっこよく見せて、もたらせる結果を導き
ストーリーを展開していくのだ。
エグジーが彼女の家族との夕餉できたオレンジのタキシード、
敵役のポピーアダムズの60年代テイストのアメリカンロードサイド
モンスターインクのような道化師役をこなすエルトンジョン。
登場する人々がなにがしかの美学を持って、作品を作っている。
ストーリーを楽しむというより、その小道具や衣装も十分に楽しい。
暴騰から「カントリーロード」が使われ、マリーンが自爆する際も彼は大声で歌いあげている。「原点に戻る」ということを伝えたかったのだろうか。
死んだはずだったが最新治療で復活したハリーは1作目でみせた
華麗な動きができず、間誤付いたり錯乱しているところの描写は
エグジーへの代替わりをうまく見せていたと思う

 

笑う故郷

故郷アルゼンチン・サラスを捨てたノーベル賞作家が凱旋するのだが。

最初は歓迎ムードで演説会でもリップサービスするのだが、サラスの住民は

大作家となった彼に複雑な感情を持っており田舎者特有の劣等感を滲み出していく。

市長、絵画コンテストの落選者、彼の小説のモデルになったと言い張る息子、車いすを頼む親子、誘惑する娘、初恋の人妻と、その夫。特に、娘のセリフであった「ママのようにこんな田舎で朽ちていきたくない」がこの作品のキーワードだと思う。小さな田舎町で滞留しているため閉鎖的になっていく人々。富と名声を得て自由に世界を渡り歩く男にやっかみを感じるはずがない。歓迎のムードは徐々に嫉妬と暴力に取って代わられていく。男にとってノスタルジーはそのままであったほうが良かったのだろうか。

唯一の見方は初恋穂人妻と作家志望のホテルマン。嫉妬に狂う彼女の夫から男を脱出させようとするのだができず。この二人は救いとはなりえなかった。

撃たれても幸いに一命をとどめて彼はノーベル賞受賞以来の新作として今回の道中について小説にした。彼にとっての復讐なのだろう。

全員死刑

福岡久留米で起きた殺人事件をベースにした映像。

冷たい熱帯魚の関係者が制作したとの触れ込みだったので見たのだが

狂気さやスリリングさ緊張感が足りなかった。

田舎のチンピラが見境なく場当たり的な生活、事件を起こしているようにしか見えない。その何気なさが恐怖なのか、役者陣の熱演も空回りしていて人間の狂気に引きずり込まれることはなかった。

ボブという名の猫 幸せのハイタッチ

その日の食事、寝床にも苦労しているヤク中のホームレスが

たまたま拾った茶トラの野良猫と暮らしだすことで

人生が好転していく物語。

 

本国イギリスでは軽いタッチの映画なのかしら。

売出し中の若手イケメン俳優と猫の物語なら

そこそこ当たるだろうという目論見なのかしら。

 

作品そのものはコメディにもシリアスにも振り切れない

半端な出来栄えであった。

 

イギリスの若者の貧困問題、を随所にちりばめてみじめさを

深く描けば、と思ったがそんなものは誰も受け付けないのかな。

 

隣人で自殺した兄の部屋で兄の人生を生きるベティ

離婚して息子ジェームズとの面会を拒否してきた父親

ヤク中ジェームスの保護を務めてきたヴァル

それぞれ一癖あって面白いのだが

うまくかみ合っていない。