恋人たち

今年見てきた作品で、胸倉を使われるような
衝撃を持って鑑賞をした。この心のえぐりよう・・・
驚異的な迫力はマッドマックス 怒りのデスロードなみだ。

物語は三人の人物が抱える絶望と孤独と倦怠によって
語られていく。

アツシは三年前、通り魔により最愛の妻を亡くし絶望のどん底にいる
瞳子は口数の少ない夫と気の合わない姑との暮らしに飽いていた
四之宮は思いを寄せる友人がいるのに結婚後、徐々に気持ちが遠のいていくことに恐れている

一人ひとりの物語だけでも十分に面白い。

絶望のどん底にいるアツシは塞ぎこんでしまい「一時間五万円の弁護士」の費用を捻出するため
給与の前借や保険料の滞納をしてしまう。そんな彼を悪意のない悪意をもった人が
心を切り刻んでしまう。

瞳子はその存在を蔑ろにされている。単調な毎日のなかで唯一の楽しみは
夫との義務的なセックスと雅子様の追っかけビデオの試聴だけだ。

四之宮はどこか高飛車で人を見下す感がある。せっかくの若い恋人に対しても
友達の前で悪く罵り周りが引くほどに小ばかにしてしまう。
退院後、せっかく二人きりになったのにグズグズと文句をたれ
とうとう恋人に三行半をつけられてもまだ憎まれ口を叩かずにはいられない。

アツシと瞳子の描き方は受入れられるのだが
四之宮だけが引っかかりを覚える。
彼は片思いの男に接触を試みるのだが、その疚しい下心を感づいた男の妻が
疎遠になるよう耳打ちしたせいか、男は四之宮を突き放していく。
友達としてビジネスとして、、、いたって普通なことだよを全開にアピールする
四之宮は滑稽でピエロだ。せっかく若い恋人がいるにもかかわらず
彼を愛さず、男への思いを募らせる代替愛とでもいうのか。

三人は怒りや悲しみを頂点に達したときそれぞれに
独白をする。涙をこみ上げて独白するシーンは名シーンだ。

三人それぞれを囲む人々もたまらなく個性的で心の救いでもあった。
アツシにおける黒田、瞳子における藤田、四之宮は片思いの恋人ではなく女子アナ。
張り詰めた心がほぐれた瞬間、他者を受入れられるようになり
新しい一歩へ生活へ進むことができる。

一歩進んでしまうとそれまでの暮らしぶりが急に色あせて見える。
ご祝儀詐欺で捕まったニュースや、ギプスをはずしての最初の一歩や
高速道路の隙間から見えた青空。一歩前に進みだすそれぞれの主人公たちが
か細くも逞しくて、いとおしくなる。

監督は自分が体験したものを脚本にしたり演出にしたのだろうか
作品にはみていて実に生々しく事実は小説よりも奇なり、の奇が沢山ある。

ミケランジェロ・プロジェクト

ナチス政権に奪われた芸術作品の数々を
奪い返すと言う物語。
さる大学教授の徴収により集められた精鋭たちも
銃弾で倒れ、敵にやられ、一人、また一人と命を落とす。
二度の世界大戦でヨーロッパは沢山の歴史的財産を
消失したんだろうな。
歴史のトリビアとしては面白いのだが
痛快劇、とは行かなかった。

ケイトブランシェットは美しく迫力があった。

マジックマイクXXL

かつての栄光を忘れられなかったマイク。
仲間たちに誘われくすぶっている現状から脱出するように
ダンス大会への旅にでる。
行く先々でかつての仲間や道中で知り合った娘の母親宅など
誘惑やセックスやもちろんダンスでの対決も
ダンサーの魅力たっぷり見せ付けてくれた。

やがて悲しき男の夢、というような説教じみたものもなく
からっとした爽快感で突き抜けていく。

キングスマン

派手なアクション、ギミック、おしゃれな音楽、漫画のような映像効果と
これまでのスパイ映画をは一線を画す作品。
労働者階級、貴族階級、学歴社会、堕ちこぼれ、など等
イギリスの文化様式が垣間見れて、それも楽しい作品。

物語も明快で分かりやすく、話のなぞを解くというよりは
勢いとおしゃれな演出、音楽で映像を楽しむようだ。
マイクロチップが過熱して爆発する様も
グロさはなく、爽やかにさえ思えた。




派手なアクション、ギミック、おしゃれな音楽、漫画のような映像効果と
これまでのスパイ映画をは一線を画す作品。
労働者階級、貴族階級、学歴社会、堕ちこぼれ、など等
イギリスの文化様式が垣間見れて、それも楽しい作品。

物語も明快で分かりやすく、話のなぞを解くというよりは
勢いとおしゃれな演出、音楽で映像を楽しむようだ。
マイクロチップが過熱して爆発する様も
グロさはなく、爽やかにさえ思えた。

先生と迷い猫

町のみんなにかわいがられていた野良猫が消えてしまい、
行方を捜すうちに自分の気持ちに気がついてくる。

愛妻を亡くして孤独な老後の中を生きる主人公は、町の人からも
変わり者呼ばわりされて益々孤独であった。彼が唯一の社会とのつながりを
もてていたのはロシア文学の翻訳だったが、それもあっさりと否定されてしまい
身の置き所がなくなってしまっていくのが哀れだった。
そんな中、寄ってくるのは猫くらいだったが、亡妻を思い出すと言うことで
追い出してしまう。

これを主軸にして、脇役の演出がよかった。
不登校の小学生は、カッターで襲われた猫を見た後に
落ちていたカッターで枝をなぎる。なんとなく不安にさせるシーンでよかった。
男が、おにぎりを差し出そうとすると僕は猫じゃないと駆けていくのも。

猫を探す男の様はおろおろしているだけで情けなく
滑稽にも見える。
翻訳を笑われ、おにぎりを断られ、彼は自分と他社のかかわりを
改めて求めていたように見える。

夢と現が入り混じったラストシーンはとてもよかった。

ふたつの名前を持つ少年

ナチスの迫害からたった一人で逃げ切って生き延びた少年の話。
収容所から脱走したユダヤ人の子供たちは森の中で野良犬の様に
生き抜いていた。
鳥の毛をむしらず、泥で固めて蒸し焼きにするシーンは実話を彷彿とさせた。

スルリックと言う本名をユレクと偽名してからは、親切な婦人の教えどおり
農家の手伝いをしながら渡り歩くこととなった。

ひ弱だった少年はだんだんと生きるしたたかな力をつけていく。
物乞いの様に扱われたり、親切にされたりと少年は年をとる。

日本の様に、子役を使って泣かせようとせずに淡々と、歴史の断面を
見せてくれているのが面白い。

子役は双子だそうで、静と動で子役を変えていたのには驚いた。

ラストに本人が元気そうな姿で登場したのも驚いた。

TED2

口の悪い熊のぬいぐるみと駄目男の物語。
ハッピーエンドで終わった前回からの続編でテッドの結婚生活が
描かれている。彼は人形で人権はない、という裁判沙汰までになって
その勝利までを描く。

下ネタ、ドラッグと言葉遊びや、テレビ番組のオープニングを口ずさむ様など
アメリカ人の笑いのつぼが分かるないようだ。
作品そのものより、アメリカ人の嗜好が分かる一本だ。